晴れなのに雨だからどこかのきつねは嫁入りしなければならない(誰でもトイレの話)

 

 この二週間くらい、泣き叫んだり喚いたりオーバードーズしたり過眠したり職場でパニック起こしたりしたことを医者に正直に伝えたら、素直に処方薬が増えました。以前私を躁転させたピンクもしくはオレンジのカプセル、久しぶりだな。

 

 連休明けの職場、私は上司にTRPの話題を振られて笑顔を作る、「盛況だったみたいですね」とだけ。私にのみ振られるその話題を拒否する力は私にはない。

 昼休みに起こしたパニックは90分程度続いて、わざわざ「じぇんだー問わないよ」と書き加えられたびみょーなトイレに駆け込んで冷たいタイルの壁に頬を付けて唇噛み締めて涙を流していたら、外から「だ~れ~で~も~ト~イ~レ~www」と猫型ロボットの真似をしながらげらげら笑う複数人の声。鍵を掛けたドアをガチャガチャやられて「んだよ使用中かよwww」ってめっちゃ怖かった、はい使用中です、男子トイレも女子トイレも使いにくいなあなんてほざいてる得体の知れないキメラが過呼吸一歩手前にて使用中ですのでどうぞよろしくお引き取り下さい。

 

 気持ちだけは這うようにして自席に戻ると、同僚は近く挙げる自分の結婚式について盛り上がっていて、ドレスはなにを、ダイエットを、場所は食事は飾りつけは。「目一杯おしゃれしてきてね!」

 その人は以前にこやかに「ちゃんと誰でもトイレ用意するからね!なんでも要望言ってね!」って言った。自らの撒いた種が毒性植物だった感がすごくて泣き笑いになりかけたけど、嬉し泣きに見えましたか?アパルトヘイトを喜ぶか、「同性」のトイレで叫ばれるか、「異性」のトイレで同僚上司と鉢合わせか。もう退路はない。

 

 この記事を書き始めたとき、私のいた場所では日差しと共に大粒の雨がバラバラバラバラ降り注いでいて、どこかで女狐が大げさな角隠ししてる様子が目に浮かんで、心の中で合掌した。南無三、抗えなかった私。