改名許可

胸オペから1ヶ月以上が経った。経過は順調。4月のうちにバストバンドが取れて、暑がりの私にはセーフ!汗かきにバストバンドは本当にキツい。腕の可動域も徐々に広がってきて、横向きに寝られるようになったし、腕を上げて物を上げ下ろしすることもできるようになった。完璧じゃないとはいえ、胸をかばって恐る恐る動いていた期間を思えば全く快適。腰痛も限界だったし。背骨の繋がりを実感する1ヶ月間でした。引き続き、毎晩創部に薬を塗る。胸全体の感覚がないので最初は気味が悪かったけど、だんだん慣れてきた。そうそう、乳頭壊死はしませんでした!

連休開始の少し前、改名の予備審問のために家庭裁判所に行った。裁判官や書記官ではなく参与員と対面し、質問と確認をされて待つこと10分、名の変更許可が下りた。即日。審判謄本をもらい、その足で役所に走って、戸籍の名の変更届を提出した。連休を挟むので時間が掛かりそうではあるが、全然問題ないです。即日審判が下りた時点で超早いです。

正直、予備審問はヒヤッとした。許可が下りない可能性すら考えた。

新しい名前は、読み方次第では女性名にも読める。で、申立ての資料として提出したジェンダークリニックの診断書には「男性として男性名で生活することが苦悩の低減に役立つ」と書かれている。その書き方と女性名にも読めることとの齟齬に、参与員が引っかかった。

 

「この名前、女性の名前にも読めますけど……」

 

そうですね「男性名」っぽくないですよね。そう見えるようにしたんで。

ただ、そもそもの申立書の備考欄に、私自身でこう書いていた。「厳密に言えば私は男性自認じゃない。だけど女性とも認識していない。自分の体も現在の名前も苦痛。現状の名前はアイデンティティの維持に著しい支障を来している」という内容。これ本当は、提出前は本当に、書かないほうが良いかもしれないとも思いながら、書いた。なんでかというと、なんかこう、書かないと、自分の状態として整合性が取れなかったから。

結局、蛇足は吉と出た。参与員は備考欄を読んで、疑問を自分で解消した。

 

「……でも、申立書に『男でもない』と書いてあるから、良いんですね」

 

そうですそうです。申立人が良いって言ってんだから良いんです。ね、解決。

診断書には「FTM」とあるし、「男性として生活している」とされているし、なんなら実際「男性」としてかなり「パス」して生活している現状(胸オペ後「パス」具合は明らかに加速した。黙っていれば。それについては別途……)で、もういっそのこと「私は男性なので」と白を切れば良かったし、そうした方がある種安全だと思う。この世ですからね。だけど私はそれができなかった。馬鹿正直といえば馬鹿正直。というか、馬鹿ですね。「男性じゃないなら女性でしょう。改名しなくて良いじゃないですか」とでも言われたら、どうするつもりだったんだ。

そもそもジェンクリの医師がバイナリーな書き方をしなきゃ済んだ話じゃないかとも思うが、ジェンクリとはそういう場所なので、とも考える。とにかく、結果的に、通った。良かった。待合室での10分間、冷や汗をかいていた。外は晩春の陽気。

戸籍の名前が変わったら次に住民票の名前を変更する。その後、免許証や保険証や諸々の変更手続きを、たくさん、スムーズに進めないと。

数ヶ月サイクルで忙しくなる今の仕事は、もうそろそろ忙しくなるな〜という頃合いだけど、職場で特に関わりのある人は私が術後であることを理解してくれていて、急な or 長時間の依頼を断っても嫌な反応はされていない(依頼自体はある)。ありがたい。本格復帰する頃には、新しい名前が記載された身分証をゲットしているはず。