通院は順調です

梅雨の時期から開始したジェンダークリニックへの通院および婦人科での検査を経て、秋になり、「性同一性障害であると診断する」と記載された意見書を入手しました。

これはファーストオピニオン。約3ヶ月かかりました。今後、セカンドとして別のクリニックに数回(予定では2回)通院し、2通目の意見書を入手。これが2〜3週間。判定委員会での判定を経て、性同一性障害の診断書を得る形になります。ここまで更に約3週間。診断がおりたらすぐに、乳房切除手術を受ける予定の病院の初診でスケジュールを調整し、手術と入院の目処を立てます。初診は年内で予約済み。

上記はガイドラインに沿った場合の私のスケジュールです。胸オペを国内で、かつ保険適用で行うために、ファースト受診時に「ガイドライン通りに進める」と決めたので、そうでない場合よりも時間が掛かっていると思います。でもありがたいアドバイスなどもあり、当初思っていたよりかなりスムーズに進んでいます。胸オペする病院も都合のよい認定施設が見つかり、保険適用での手術が問題なく受けられそうです。

(リンクはメモ用に貼りました。それぞれ日本精神神経学会GID学会、gid.jpのウェブサイトに繋がります)

手にしたファーストの意見書には、私が書いた自分史をもとにした心理士の聞き取り・要約と、医師による精神療法(形式的なもの)の結果導き出された文言が記載されています。非常に定型的な文章です。診断なので当然です。

 

……とはいえ、正直なところ、困惑しています。そして少し笑えます。

意見書に書いてあることが尽く自分に当てはまらないように感じて、もはや自分についての記述とは思えないからです。予想はしていたというか、繰り返しますが当然なんです。そもそも性同一性障害の診断とはそういうものだし、私自身が取りに行ったものなので、こんなこと言うのはお門違いかもしれない。

それでも、「女性としての社会的適応」の枠に書かれた第二次性徴への嫌悪感って、あったっけ。そんなこと私言ったっけ。診断の「男性であるとの持続的な確信」と「自己を男性として適合させようとする意思の有無」、「あり」になってるけど、ないし。「男性の生活に移行」した実生活体験もなく、またそうしようとも思っていない(期せずしてそうなってしまうことはあるとしても)。

「あなたは男性として生きたい人間です」と医療によって太鼓判を押された(押されに行った)ことによって、逆に「いや、自分、そうではないですね」という確信が深まったと言えるかもしれません。

もっと言えば、非常に居心地が悪いです。嘘をついている感じがします。もちろん自分史に嘘は書いていません。意見書の記述が嘘のようだしても、私の目的のためには必要な嘘なんです。それがまた居心地の悪さに拍車をかけています。

診断があってもなくても感じる居心地の悪さはあります。この性別二元論社会のどこにも私の居場所はないんだと、駅でもトイレでも職場でも服屋でも不動産屋でも感じます。

そこに「大丈夫、あなたは男だよ」と背中を押されて、あっ違う違う、行きたいのはそっちじゃないんだけど、うーんでもまあ押されて歩いてるこの道の途中に用事があるし、このまましばらく歩きます、という気持ち。

歩き出してしまった今、私は歩くしかないんです。最終目的地なんかないとわかっていても、歩みを止めることはできません。少しでも自分が居心地のよい場所にたどり着くために。その場所が、今より狭く危険な崖っぷちであったとしても、とにかく私は進んでいます。

 

「現行の医療の枠組みに反対なのに性同一性障害を利用した」

「女性扱いが嫌なのは内面化したミソジニー

それが仮に本当だとして、私の体や振る舞いをコントロールできるのは私だけであることには変わりないので。